【黄チャート(解法と演習)】使い方や参考書ルートを塾長が徹底解説!文系・理系別の正しい組み合わせも

網羅系参考書に進みたいけど、青チャートと黄チャートどっちを選べばいいかわからない…

黄チャートって「基礎向け」って聞くけど、これだけで入試に間に合うのかな…
結論から言います。地方国公立や関関同立の下位〜中位レベルであれば、黄チャートを完璧に仕上げるルートで十分戦えます。
※書影画像をここに挿入してください(wp:image ブロック)
数研出版の『チャート式 解法と演習』シリーズ、通称・黄チャート。「青チャートより下」「基礎向け」というイメージだけで軽視されがちですが、現場で指導しているわたしからすると、それは大きな誤解です。
この記事では、黄チャートの正しい立ち位置、文系・理系・志望校別のシリーズの選び方(ここが一番間違えやすい!)、章末エクササイズまで使い切る勉強法、そして黄チャートの先のルートまで、すべてまとめました。

この記事では、23歳で個人塾を立ち上げ、開校9年目の今では2年先まで空き待ちをしていただいているわたしが、現場のリアルな意見をもとにお伝えします!
黄チャートのレベルと立ち位置
参考書ルートでの位置づけは入試基礎〜入試標準にあたります。
教科書レベルの理解を終えた受験生が、入試で戦うための解法パターンを網羅的にストックしていくための参考書です。基本例題・重要例題・補充例題の3段階で構成され、難易度はコンパス印で表示されています。
当サイトで一番読まれている数学入門問題精講の記事でも紹介したとおり、わたしの塾では「入門問題精講で理解→網羅系で演習」という流れを採用しています。黄チャートはまさにその「網羅系」の本命です。

青チャートとの違いは「ターゲット層」
よく「青チャートの方が上位互換」と思われがちですが、正確には2冊の違いは内容の優劣ではなくターゲット層です。
| 黄チャート | 青チャート | |
|---|---|---|
| カバー範囲 | 基本〜入試標準 | 基本〜入試応用 |
| 主なターゲット | 日東駒専〜地方国公立・関関同立 | MARCH上位〜旧帝大・難関国公立 |
| 特徴 | 基礎の橋渡しが丁寧で挫折しにくい | 問題の上限が高いぶん基礎の負担も大きい |
大切なのは「どちらが優れているか」ではなく、自分の志望校に必要なレベルをどちらが過不足なくカバーしているかです。志望校に対してオーバースペックな参考書は、挫折のリスクを上げるだけです。

「とりあえず青チャート」で挫折する受験生を毎年見てきました。周りの目や見栄で参考書を選ばないでください。合格から逆算して選ぶのが正解です。
新課程版は全例題に解説動画付き
新課程の黄チャートは全例題に解説動画が付属しています(例:II+B+C〔ベクトル〕は797本)。
紙の解説でわからないところを動画で補えるので、独学での挫折リスクが大幅に下がりました。わたしが数ある網羅系の中で黄チャートを推す大きな理由のひとつです。
【最重要】シリーズ5冊から自分に合った組み合わせを選ぼう
黄チャートは新課程への移行で冊子構成が複雑になっており、「どれを買えばいいのか」で間違える受験生が非常に多いです。現在のラインナップは以下の5冊です。
| 書名 | 定価(税込) | ページ数 |
|---|---|---|
| ① 数学I+A | 2,079円 | 584ページ |
| ② 数学II+B+C〔ベクトル〕 | 2,420円 | 736ページ |
| ③ 数学III+C〔複素数平面・式と曲線〕 | 2,321円 | 608ページ |
| ④ 数学II+B | 2,200円 | 584ページ |
| ⑤ 数学C〔ベクトル・複素数平面・式と曲線〕 | 1,320円 | 296ページ |
ポイントは、②と④、③と⑤で数学Cの内容が重複していることです。つまり「②+③」か「④+⑤(+数IIIは③)」のどちらかの系統で揃えることになります。基本は以下の組み合わせで選んでください。
| あなたのタイプ | 買うべき組み合わせ |
|---|---|
| 文系(共通テストのみ・私大文系・国公立文系) | ①+②の2冊 |
| 理系(私立・国公立とも) | ①+②+③の3冊 |
| 学校ですでに④(II+B)を持っている | ⑤を買い足し(理系はさらに③) |
文系の共通テスト数学②は「数列・統計・ベクトル」の選択で対応するのが一般的なので、②のII+B+C〔ベクトル〕までで必要範囲はカバーできます。複素数平面や式と曲線が必要になるのは基本的に理系だけです。

まれに志望校の出題範囲が特殊なケースがあります。購入前に必ず志望校の募集要項で「数学の出題範囲」を確認する習慣をつけましょう。
黄チャートはこんな人には向かない
教科書レベルの内容がまだ理解できていない人
黄チャートは基礎への橋渡しが丁寧とはいえ、教科書レベルの基本公式がわからない状態で進めるのは厳しいです。網羅系は「理解したことを定着・拡張する」ための参考書だからです。
まずは入門問題精講で「理解」を作ってから黄チャートに進みましょう。この順番を守るだけで挫折率は大きく下がります。

すでに全統模試で偏差値60を超えている人
河合塾さんの全統模試で偏差値60くらいをすでに取れていて、MARCH上位や旧帝大レベルを目指すのであれば、青チャートやフォーカスゴールドを選んだ方が、1冊で入試応用レベルまで到達できます。
繰り返しになりますが、黄チャートと青チャートの違いはターゲット層です。自分の現在地と志望校で決めましょう。
例題だけ解いて「網羅した気」になってしまう人
チャート式の勉強で一番多い失敗パターンがこれです。例題の解法を「見て理解した」だけで先に進み、自力で解く練習をしない。
数学は「わかる」と「解ける」の間に大きな壁があります。下のPRACTICEや章末のエクササイズまで含めて初めて、黄チャートは完成します(詳しくは使い方の章で解説します)。

「黄チャートやったのに成績が伸びない」と相談に来る生徒さんのノートを見ると、ほぼ例外なく例題を写しているだけです。自力で解く時間こそが成績を作ります。
黄チャートはこんな人におすすめ
地方国公立・関関同立・日東駒専レベルを目指す受験生
このレベル帯の入試問題は、「見たことのない難問」ではなく「標準問題を確実に解き切れるか」の勝負です。
黄チャートがカバーする基本〜入試標準レベルは、まさにこの勝負どころと一致しています。「基礎向けだから」と軽視するのは完全に誤解で、このレベル帯の合格に必要な解法は黄チャートにすべて詰まっています。
学校で黄チャートが配布されている人
「学校でもらった黄チャートじゃなくて、他の参考書を買った方がいいですか?」という相談をよく受けますが、答えはNOです。
手元にある網羅系を使い倒す方が、新しい参考書に乗り換えるより確実に伸びます。定期テスト対策でそのまま使えるのも学校配布組の強みです。
解説動画を使って独学で進めたい人
新課程版は全例題に解説動画が付いているので、「解説を読んでもわからない」で止まってしまう独学最大のリスクをカバーできます。
塾に通わず数学を仕上げたい受験生にとって、いまの黄チャートは非常に心強い選択肢です。

おうちの方に買ってもらう必要がある場合は、この記事をご家族の方に共有しよう。
みんなの代わりにこの参考書のよさをしっかりプレゼンします。
黄チャートの使い方・勉強法(章末エクササイズまで使い切る)
STEP1:例題を「解説を隠して」自力で解く
まず例題を、下の解答を隠して自力で解きます。
3〜5分考えて手が動かなければ、CHART&SOLUTION(指針)だけを見てもう一度考えましょう。それでも解けなければ解答を読んでOKです。悩みすぎは時間の浪費ですが、「まず自分で考える」工程を飛ばすと何も身につきません。
STEP2:答えの数値だけでなく、考え方のプロセスまで照合する
答えの数値だけでなく、考え方のプロセスまで一致して初めて正解です。
「xの定義域について考えていなかった」「場合分けが漏れていた」のような答案のプロセスまでよくチェックしましょう。解けなかった例題は、解説を閉じてその場でもう一度自力で再現してください。
STEP3:例題の直下のPRACTICEで定着を確認する
例題が理解できたら、直下の類題(PRACTICE)を解いて定着を確認します。
例題は解けたのにPRACTICEが解けない場合、それは「理解」ではなく「記憶」だったサインです。例題に戻って、なぜその解法を選ぶのかから確認し直しましょう。

時間がない受験生は、コンパス1〜2個の易しいPRACTICEを飛ばして例題+コンパス3個以上に絞る戦略もアリです。ただし飛ばした分はエクササイズで必ず回収してください。
STEP4:章末のエクササイズで「入試の形」に触れる(ここで差がつく)
多くの受験生が例題とPRACTICEだけで次の章に進みますが、黄チャートの真価は章末のエクササイズ(EXERCISES)にあります。
例題は「この解法を使いなさい」という看板が立った状態で解いています。しかし入試本番では、どの解法を使うかを自分で判断するところから始まります。エクササイズはその判断力を鍛える、章の総仕上げです。
解けなかった問題は、対応する例題に戻って解法を確認→もう一度エクササイズに挑戦、という往復で仕上げてください。

「例題は完璧なのに模試で解けない」の原因はほぼこれです。解法を「知っている」ことと「選べる」ことは別の能力。エクササイズまでやり切る人だけが、模試や本番で結果を出します。
STEP5:解きなおしは1日・3日・10日・30日のサイクルで
まちがえた問題は次の日、3日後、10日後、30日後を目安に解きなおしましょう。有名な忘却曲線をもとに、わたしがお勧めしている復習のタイミングです。
理解度がまだまだ低いときは早めの復習を、もうすこしで理解できそうだというときは復習の間隔を空けるようにしましょう。
問題番号の横に日付と記号(〇=プロセスまで完璧/▲=解けたが不安/✓=解けなかった)を残しておくと、復習すべき問題が一目でわかります。
志望校パターン別・黄チャートの活用法
ここまでの内容を、あなたの受験パターン別に整理します。自分に当てはまる行を確認してください。
| パターン | 使う冊子 | 進め方のポイント |
|---|---|---|
| 文系・共通テストのみ | ①+② | コンパス3個までを完璧に。共テ形式の演習は別途過去問で |
| 文系・私大(数学受験) | ①+② | エクササイズまで完成→文系の数学→過去問 |
| 文系・国公立(二次に数学あり) | ①+② | 記述答案のプロセスを特に丁寧に。エクササイズは記述練習として活用 |
| 理系・私大 | ①+②+③ | 数IIIの微積は配点源。III+Cのエクササイズまで必ず |
| 理系・国公立 | ①+②+③ | エクササイズまで完成→数学Ⅲ・C重要事項完全習得編→過去問 |

どのパターンでも共通するのは「1冊を完璧に」です。ボリュームのある参考書なので、単元ごとに理解→演習→復習を回して、着実に積み上げていきましょう。
黄チャートを完璧にしたら次は?「黄チャートで十分」の本当の意味
「黄チャートは基礎だから、結局あとで青チャートが必要になる」という意見を見かけますが、現場の感覚では明確にNOです。
地方国公立や関関同立の下位〜中位レベルであれば、黄チャートをエクササイズまで完璧に仕上げ→薄い実戦系問題集を1冊→過去問、というルートで十分合格点に届きます。
むしろ危険なのは、黄チャートが中途半端なまま青チャートや難しい問題集に乗り換えることです。網羅系の乗り換えは膨大な時間のロスになります。
文系の次の1冊:文系の数学 重要事項完全習得編
文系は河合出版の『文系の数学 重要事項完全習得編』がおすすめです。文系入試で頻出の152テーマ前後に絞った構成で、黄チャートでストックした解法を「入試の得点」に変換する橋渡しをしてくれます。288ページ・1,320円(税込)とコンパクトなのも受験期向きです。
理系の次の1冊:数学Ⅲ・C 重要事項完全習得編
理系は同じ河合出版の『数学Ⅲ・C 重要事項完全習得編』がおすすめ。理系入試の得点源である数IIIの微積・複素数平面・ベクトルなどの重要テーマを、問題→解答→解説講義の流れで固められます。324ページ・1,430円(税込)です。
この1冊を終えたら、志望校の過去問演習に進みましょう。「黄チャート→重要事項完全習得編→過去問」。これが地方国公立・関関同立レベルの最短ルートです。

参考書を増やすより過去問に早く入る。このレベル帯の合否を分けるのは「過去問演習の量と質」です。参考書コレクターにならないでくださいね。
同じレベルの参考書は?
同じレベル帯でよく比較されるのは数学基礎問題精講シリーズです。
| 参考書名 | 特徴 |
|---|---|
| 黄チャート(本書) | 網羅性が高く辞書としても使える。解説動画付きで独学向き。ボリューム大 |
| 基礎問題精講 | 重要問題だけに絞ったコンパクト設計。時間がない受験生向き |
受験まで時間があるなら網羅性の高い黄チャート、高3からのスタートで時間がないなら基礎問題精講、という選び方がおすすめです。詳しくはこちらの記事をどうぞ。

黄チャートが難しいと感じたらどうしたらいい?
取り組んでみて「例題の解説すら理解できない、、」となったら、それは順番のサインです。1段階戻って「理解」から作り直しましょう。
戻り先はこの2つです。
- 数学入門問題精講:紙で理解を積み上げたい人向け
- スタディサプリ:動画で人の説明を聞きたい人向け(私の塾にも導入しています)


まとめ
黄チャートは「基礎向け」なのではなく、「地方国公立・関関同立レベルの合格に必要十分」な網羅系参考書です。
例題を自力で解き、プロセスまで照合し、章末のエクササイズで「解法を選ぶ力」まで鍛える。そこまでやり切った黄チャートは、青チャートを中途半端にやるよりはるかに強力な武器になります。
自分の受験パターンに合った組み合わせを選んで、1日でも早く学習をスタートしてください。

おうちの方に買ってもらう必要がある場合は、この記事をご家族の方に共有しよう。
みんなの代わりにこの参考書のよさをしっかりプレゼンします。

がんばるみなさんを陰ながら応援しています。ファイトです!

