【数学入門問題精講】使い方や参考書ルートを塾長が徹底解説!
高校に入って急に内容が難しくなり、中学校まではできていたはずの数学に苦手意識を感じていませんか?

しっかり時間をとって苦手を克服したいけど、英語や国語などの他の教科の勉強もしないといけない。。。

最短ルートで数学の基礎を身につけて、入試基礎レベルの数学力をつけたい!
そんなあなたの心強い味方になってくれるのが数学入門問題精講シリーズです。
しかし、こんな不安がある人も多いと思います。

今までも参考書を使った独学でうまくいかなかったから、また失敗しないか不安。。。

自分のレベルに合っているのか、その先はどんなルートで進んでいけばいいのか分からない。。。
そこでこの記事では、数学入門問題精講シリーズの特徴だけでなく、具体的な学習の進め方や次に取り組みたい参考書までまとめました。

23歳で個人塾を立ち上げ、開校7年目の今では2年先まで空き待ちをしていただいているわたしが、現場のリアルな意見をもとにお伝えします!
数学入門問題精講シリーズは高校数学の勉強をスタートする1冊目に最適
参考書ルートでの位置づけは入試基礎にあたります。
どのレベルの大学を目指す生徒さんにとっても必須の参考書です。

ラインナップは以下の3種類です。

- 数学Ⅰ・A入門問題精講
- 数学Ⅱ・B入門問題精講
- 数学Ⅲ・C入門問題精講
数学ⅠA・数学ⅡBは2022年4月からの新学習指導要領に対応しています。
教科書と入試基礎レベルの橋渡しとなるような教材で、初歩的な内容からこれでもかというくらい丁寧に解説しています。
数学は答えに至るまでの思考のプロセスがともて重要ですが、一定レベル以上の参考書では「これくらいわかるでしょ」ということで省略されているケースもちらほら。
そこまでちゃんとフォローしてくれる点が評価され、高校数学の入門書として圧倒的な支持を得ています。

高校数学の入門書としていちばん有名だと思います。
数学入門問題精講シリーズは基礎の理解を目的としたインプット本
数学入門問題精講シリーズは問題演習よりも内容の理解に重点を置いたインプット型のテキストです。
問題と答案だけでいえば総ページ数の10~20%程度で、全体の80%は解説や補足です。


このように、徹底的に「理解」に重点をおいた構成になっています。
前半にわかりやすい解説があり、後半では練習問題と応用問題を使って、ほんとうに理解できているかをチェックしながら進めていきます。
解説はとても丁寧で、考え方のプロセスもくわしく記載されています。
独学で数学の勉強をしていて、「ん?この式からこの式の変形はどうなっているんだ?」と思ったことはありませんか?
数学入門問題精講シリーズは、こういった「あとはそっちで考えてね」をできるだけ排除した優しい解説になっています。

模範解答を見ればたしかに言いたいことはわかるけど、その解法はどこから降ってきたの?となるのは数学あるあるですよね。
入門問題精講がおすすめできないケース
入門書として最高のテキストであることはまちがいありませんが、この参考書が合わない場合もあります。
教科書レベルの内容がまったく理解できていない
一応この参考書は「教科書を読んでも分からない人でも大丈夫」とアピールしていますが、現場で指導させてもらっている身からすると、さすがに教科書レベルの基本公式がマスターできていない状態で独学を進めていくのは難しいと思います。
実は、紙ベースの勉強はみなさんが思っているよりも高い知識レベルが求められるんです。
教科書の内容がまったくわからないときは、定期テスト・入試入門レベルの参考書から始めたり、スタディサプリなどの授業動画サービスを使うことをおすすめします。


わたしの塾では、
スタディサプリの講義を視聴
→数学入門問題精講で理解を深める
→網羅系参考書から重要問題をピックアップして演習
という流れを採用しています。
数学が得意な受験生
河合塾さんの全統模試で偏差値60くらいをすでに取れているのであれば、この参考書はスキップしてもいいと思います。
まだ受験まで時間がある場合は網羅系参考書のチャートやフォーカスゴールド、よりコンパクトに問題をまとめた基礎問題精講や標準問題精講などを使ってガンガン問題演習をしていきましょう。



受験までまだ余裕がある高1~高2の夏休みまでであれば、数学が得意な生徒さんにもこの参考書をおすすめしています。
かんちがいや解法暗記を防ぎ、数学の核となる考えかたをマスターしてもらうためです。
どんな人におすすめ?取り組むタイミングは?
数学入門問題精講シリーズは以下の3パターンの人に向いたテキストだと思います。
学校の授業と並行して確実に理解したい人
学校の授業と並行して学習することで、より確実に内容が理解できます。特に授業で理解できなかった部分を補完するのに最適です。
また、あらかじめ解説ページを読んでおくことで学校の授業でのつまづきを防止することもできます。

ガンガン先取り学習をしたい人
先取り学習を進めたい生徒さんにもおすすめです。基礎を早めに固めることで、余裕を持って次のステップに進むことができます。
先取り学習をして余裕を持ったスケジュールにするのであれば、以下のスピード感を意識したいです。
難関大や医学部を目指すならもう少し余裕がほしいので、高2の夏までにはすべての範囲の学習を終わらせたいですね。
数学Ⅰ・A | 中3~高1の夏休み |
数Ⅱ・B | 高1の夏休み~高2の夏休み |
数Ⅲ・C | 高2の夏休み~高3の1学期 |

先どりをどんどん進めるにあたって、この参考書はあくまでも「あしがかり」です。
問題量は少ないので、標準レベル以上の問題演習がたくさんできる参考書とセットで学習しましょう。
数学の苦手をなくしたい受験生(高校2年生2学期~高校3年生1学期)
数学の苦手をなくしたい受験生さんはまずこの参考書から始めましょう。
ただし、受験まで時間があまりないことを考えると、2週間~遅くても1か月でやりきるスピード感が必要になります。
受験に数学が必要な場合、文系なら数ⅡB(C)、理系であれば数Ⅲまで求められるケースが多いでしょう。
土日は数学だけをやる1ヶ月をつくるなど、短期集中で基本をマスターしていきたいですね。

おうちの方に買ってもらう必要がある場合は、この記事をご家族の方に共有しよう。
みんなの代わりにこの参考書のよさをしっかりプレゼンします。

高3夏休み以降になると、この参考書から学習をスタートするのは時間的にかなりシビアになってきます。
この時期まで数学が伸び悩むようであれば、入試で数学を使わなくていい大学や受験方式も検討したほうがいいかもしれません。
学習の進め方
どの参考書も基本的な使い方は同じですが、特に復習不足が成績アップをじゃましているパターンが多いです。
以下の手順に従って、理解を伴った数学力をつけていきましょう。
各章の前半にある解説をしっかり読む
まずは各章の前半にある解説をしっかり読みましょう。
1回目で100%理解できなくても大丈夫です。
たくさん問題を解くうちに、点と点がつながって単元全体の理解が深まることもよくあります。


数学が伸び悩む生徒さんは完璧な理解を求めすぎていることが多いです。
7~8割の理解でとりあえず先に進んでしまう潔さもときには大切です。
練習問題を解いてみる
次に、練習問題を解いてみましょう。
解法がわからないときは、問題下にある「精講」のヒントを参考にします。
それぞれの問題には「二次関数はaの正負によってグラフの向きが変わるから気を付けて」のように、作問者が伝えたいメッセージがあります。
ここまで考えられるようになると応用が利く数学力がついていきます。


「二次関数が異符号の解をもつための条件はαβ<0だけ考えろ!」のように、この問題の核心はここだ!というポイントをメモして残しておくと効果的です。
答えの数値だけでなく、考え方のプロセスまで一致して初めて正解
答えの数値だけでなく、考え方のプロセスまで一致して初めて正解です。
「xの定義域について考えてなかった」「aが0になるときを無視していた」のような答案のプロセスまでよくチェックしましょう。
数学は文字通どおり、数を扱う「学問」です。小学校や中学校のときのように、答えの数字だけ見て正解や不正解を判断しないように気をつけてください。

学校の定期テストで「どういうこと?」「説明不足」「そうとはいい切れない」と書かれてしまったことはありませんか?
参考書の模範解答を徹底的にマネして、相手に伝わる答案が書けるようになりましょう。
解きなおしは1日・3日・10日・30日のサイクルで
まちがえた問題は次の日、3日後、10日後・30日後を目安に解きなおしましょう。
これは有名な忘却曲線をもとに、わたしがお勧めしている復習のタイミングです。

さっぱりわからない問題は2日後にもまた復習するほうがいいでしょう。
理解度がまだまだ低いときは早めの復習を、もうすこしで理解できそうだというときは復習の間隔を空けるようにしましょう。
理解度がバラバラな問題をいっしょに扱ってしまうと、苦手が残っていきやすくなります。

、、、と偉そうに語っているわたしも、学生のときはほとんど復習の習慣がありませんでした。
そのせいで志望校に合格できなかった苦い経験があります。
だからこそ言いたいんです。復習はすごーく大切!
標準レベル以上の問題演習もセットで行おう
すでに述べた通り、数学入門問題精講シリーズはインプットに特化した参考書です。
数学入門問題精にある練習問題や応用問題がクリアできたら、基礎問題精講やチャート、フォーカスゴールドなどの次のレベルの問題集まで一気にやってしまった方が効果的です。
1つの参考書を最後まで完璧にやりきってから次のレベルの参考書に進んだほうが効率的なケースもありますが、数学はちがいます。
思考力を問うような応用問題を除いて、標準レベル以下では基礎~標準を各単元ごとに一気にやってしまいましょう。

おうちの方に買ってもらう必要がある場合は、この記事をご家族の方に共有しよう。
みんなの代わりにこの参考書のよさをしっかりプレゼンします。

理由はシンプルで、次の参考書に進んだころには要点や解法を忘れてしまうからです。
2025年からスタートする新課程共通テストでも使える?
結論、新課程共通テスト対策としても問題なく使えます。
2025年からスタートする新課程共通テストでは、現行の数ⅡBが数ⅡBCに変更となります。
変更前 | 変更後 | |
試験時間 | 60分 | 70分 |
大問数 | 数Ⅱ2問+数B3問から2問選択の合計4問 | 数Ⅱ3問+数BC4問から3問選択の合計6問 |
数Cが範囲に加わったことで以下の2単元が追加になります。
- ベクトル
- 平面上の曲線と複素数平面
これらは数学入門問題精講の数学ⅢCのテキストに収録されています。内容はこれでカバーできているので問題なく使用できます。
もしかすると今後、共通テストに合わせて入門問題精講数ⅡBCが作られるかもしれませんが現状はそういったシリーズはありません。
よって現段階で数ⅡBCの対策をするには共通テストでは必要ない極限や微積もいっしょに収録されいてる数ⅢCのテキストを使うことになります。

ちょっともったいない気がしてしまいますが仕方ないですね。
同じレベルの参考書や問題集は?
同じレベルの参考書としてよく比較されるのは初めから始める数学シリーズです。こちらも解説が丁寧なことで有名な入門書です。
初めから始める数学シリーズは途中式の式変形や計算の細かい補足も多いので、こちらも生徒さんを置いてけぼりにしない参考書として定評があります。
扱っている問題の難易度に大差はないので、取り組むのは入門問題精講かはじはじシリーズのどちらか1つで問題ありません。みなさんの好みで決めてください。

はじはじシリーズはダサ、、、昭和の香りがする表紙が特徴です。その代わり内容はバツグンにいいんですけどね。
個人的には、講義パートが充実していてイマドキなデザインの入門問題精講シリーズがお気に入りです。
どのレベルまでクリアできる?次に取り組みたい参考書は?
この参考書を仕上げることで、中堅高校であれは定期テストで平均点以上を狙えるレベルには到達できます。
しかし、入試レベルだとやっとここからがスタート。これ1冊を仕上げても共通テストや二次試験に対応することはできません。
地方国公立や日東駒専のような一定の知名度がある大学を目指すのであれば、
- 基礎問題精講
- 黄チャート
などに取り組んでいきましょう。
2つの参考書のちがいはこの記事に詳しく書いています。



1つ選ぶとすれば黄チャートがおすすめ。
例題に動画があり、自主学習で挫折しにくい優秀な参考書です。
入門問題精講が難しいと感じたらどうしたらいい?
この参考書・問題集に取り組んでみて、「うわ、理解できない、、」となったらまずは人の説明を動画で見ることから始めたほうがいいと思います。
私の塾にも導入していて、早稲田大学の現役合格実績もあるスタディサプリをお勧めします。

全国的に有名な講師陣の授業が月額2,178円(税込)で24時間いつでも何度でも見放題です。
スタディサプリでの勉強だけだと限界がありますが、こうした参考書と組み合わせれば地方私大や国公立から旧帝大まで幅広い大学の対策が可能になります。
スタディサプリの詳細はこちらに書いたので参考にしてください。
中学講座の紹介ですが、内容は使い方は高校生のみなさんでも変わりありません。もっと言うと、高校講座のほうが講座が格段に充実しています。

数学入門問題精講シリーズは受験までずっと使えるコスパのいい参考書
数学入門問題精講シリーズは公式の導出や問題の解説が詳しいので、困ったときの辞書として使えます。
一旦この参考書をやりきったあとも、受験までずっとあなたの勉強をサポートしてくれます。
みなさんもよくわかっていると思いますが、受験勉強は早く始めたほうが有利です。1日でも早く学習をスタートして、志望校合格を勝ち取ってください。

おうちの方に買ってもらう必要がある場合は、この記事をご家族の方に共有しよう。
みんなの代わりにこの参考書のよさをしっかりプレゼンします。
まとめ
数学入門問題精講シリーズは受験勉強のスタートに最適であることがおわかりいただけたと思います。
成績が思うように伸びない原因として、学習量が足りていないケースが多いのは事実です。
しかし、それぞれに合った勉強法や参考書を選べていないことも大きな要因の1つだと思います。
「自分は勉強ができないダメなやつだ」「どれだけ努力しても報われない」とネガティブに捉えないでください。
みなさんは無限の可能性を秘めています。みなさんに合った正しい勉強法や参考書に出会えていないだけかもしれません。
「この参考書で数学の勉強をスタートするんだ!」「あの大学になんとしても行くんだ!」と思ったら、1日でも早く行動しましょう。

がんばるみなさんを陰ながら応援しています。ファイトです!